子どもの成長は待ってくれない。だから私は半年の育休を選んだ。

「半年も育休を取るんですか?」

上司へ伝えた時、少し驚いていたことを覚えている。

一か月や二か月なら珍しくない。

でも、半年となると話は別だった。

上司も最初は面食らっていたように思う。

後輩も少し不安そうだった。

私が担当していた仕事を、これから周りのみんなで引き継ぐことになるからだ。

もちろん、会社として制度がある以上、反対されることはなかった。

むしろ、大企業だからこそ男性育休の良いモデルケースになり、発信にもつながると前向きに考えてくれたと思う。

最終的には、みんなが温かく送り出してくれた。

本当にありがたかった。

それでも私は、半年取ろうと決めていた。

理由はシンプルだった。

子どもと一緒にいたかったからだ。

なぜ半年だったのか

もちろん、生まれたばかりの息子の育児をしたい気持ちもあった。

でも、特に大きかったのは二歳の娘だった。

ちょうど言葉を話せるようになり始めた時期。

昨日言えなかった言葉を、今日は言える。

昨日できなかったことが、今日はできる。

そんな成長が目に見えて分かる時期だった。

その瞬間を、仕事から帰った後の数時間だけではなく、毎日そばで見たかった。

子どもの成長は待ってくれない。

今日の姿は、明日にはもう変わっている。

だから私は、半年という時間を選んだ。

大変だった。でも、それも育休だった。

もちろん、育休は楽しいことばかりではなかった。

娘はちょうど癇癪のピークだった。

何をしても、

「イヤ。」

泣く。

叫ぶ。

理由が分からないこともある。

落ち着かせるのに苦労することも多かった。

息子はまだ小さく、三時間おきのミルク。

夜中に起きる生活。

妻と交代しながら対応していたので乗り越えられたが、体力的には大変だった。

育休は「休み」ではない。

毎日が子育てだった。

それでも、「早く会社に戻りたい」と思うことはなかった。

娘が頑張る姿を、私は毎日見ることができた

育休中、特に印象に残っていることがある。

娘が保育園に通い始めたことだ。

毎朝、

「寂しいから保育園に行きたくない。」

そう言って泣いていた。

朝起きて一番に話す日もあった。

夜泣きの時ですら、その言葉を口にすることもあった。

でも娘は分かっていた。

行かなければいけないことを。

だから泣きながらも保育園へ行った。

小さな体で、自分なりに頑張っていた。

私はその姿を毎日見ることができた。

もし育休を取っていなかったら。

一番後悔したのは、きっとこの成長を近くで見られなかったことだと思う。

娘からもらった、一番嬉しい言葉

子どもは親が思っている以上に、よく見ている。

そう感じた出来事があった。

娘と息子が体調を崩した時期。

病院へ連れて行き、
薬を飲ませ、
看病した。

親としては当たり前のことをしているつもりだった。

そんな時、娘が突然こう言った。

「とととかか、いつもありがとう。
私と弟の面倒見てくれて。」

胸が熱くなった。

親が子どもの面倒を見ることは当たり前。

でも、その当たり前を娘はちゃんと見てくれていた。

この言葉だけでも、半年育休を取って良かったと思えた。

家族旅行という宝物

育休中は、家族旅行にもたくさん行くことができた。

もちろん旅行自体も楽しかった。

でも、心に残っているのは観光地ではない。

家族四人で笑っていた時間だった。

娘が楽しそうにしている。

息子が笑っている。

妻も笑っている。

その姿を見ることが、自分にとって幸せだった。

思い出は、その瞬間だけでは終わらない。

何年後も、何十年後も思い返すことができる。

私はそれを「思い出の配当」だと思っている。

この半年で、その配当をたくさん作ることができた。

少しだけ、笑った出来事

ある日、お風呂の中で娘が言った。

「今日は、ととと一緒に寝る。」

嬉しかった。

ところが、お風呂から出て妻のところへ行った瞬間。

「かかと一緒に寝たい!」

すぐに意見が変わった。

思わず、

「ととは悲しい!」

と言ってしまった。

今では笑い話だ。

そんな何気ない毎日も、大切な思い出になった。

半年が終わる頃、今度は私が寂しくなった

育休終了が近づいてきた。

正直、もっと一緒にいたかった。

寂しかった。

そして、ふと思った。

「会社に行きたくないな。」

娘は毎朝、

「寂しいから保育園に行きたくない。」

と言っていた。

私は、

「大丈夫だよ。」

と送り出していた。

でも最後は、自分が同じ気持ちになっていた。

「寂しいから会社に行きたくない。」

少し娘の気持ちが分かった気がした。

子どもの成長は、本当に待ってくれない

育休を取ったことで、人生が大きく変わったわけではない。

価値観が180度変わったわけでもない。

私はもともと、家族との時間が一番大切だと思っていた。

半年が終わった今、変わったことがあるとすれば、

その考えが間違っていなかったと確信できたことだ。

人生には仕事も大切だ。

挑戦も大切だ。

資産形成も大切だ。

でも、子どもの成長には「今」しかない。

大人になれば、仕事はいくらでも頑張れる。

でも、二歳の娘と半年間毎日過ごせる機会は、一生に一度しかなかった。

息子が赤ちゃんとして腕の中にいてくれる時間も、今だけだった。

私は、その時間を選んだ。

そして今でも、あの選択は間違っていなかったと胸を張って言える。

子どもが親を必要としてくれる時間は、本当に短い。

だからこそ、その時間を大切にしたい。

私にとって育休の半年間は、

間違いなく、人生で幸せな期間だった。

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